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フィボナッチ・リトレースメントの引き方:0.382・0.5・0.618の正体

フィボナッチ・リトレースメントは、1つのスイングの幅を決まった比率で分けた価格です。引き方、比率の出どころ、弱点を見ます。

📚 チャート分析をはじめから正しく · 18/33· ⏱ 読了目安 3分 ·情報更新 2026-09-23

📋 基本情報

計算
上昇スイングの水準 = 高値 −(高値 − 安値)× 比率
比率
23.6・38.2・50・61.8・78.6%、エクステンション127.2・161.8%
50%
50%はフィボナッチ数列から出た比率ではない
弱点
どのスイングを選ぶかで水準がすべて変わる

リトレースメントの水準とは

価格が一方向に大きく動いたあとは、その動きの一部を戻すことがよくあります。フィボナッチ・リトレースメントは、その戻りがどのあたりで止まるかを見積もるために、直前の動き(スイング)の幅を決まった比率で分けて水平線を引く方法です。線そのものは単純な算数なので、同じ2点を選べば誰が引いても同じ値になります。変わるのはどの高値と安値をスイングとして選ぶかで、この記事で最も長く扱う弱点もその部分です。

引き方:安値から高値へ

上昇スイングなら安値から高値へ引き、各水準は 高値 −(高値 − 安値)× 比率 です。安値100、高値150なら幅は50で、水準は下のとおりです。0%は高値、100%は安値そのもので、100%まで下がればスイング全体を戻したことになります。下降スイングは向きを逆にして高値から安値へ引き、安値 + 幅 × 比率 で計算します。このサイトのフィボナッチ・リトレースメントのツールは、選んだ範囲の中の最高値と最安値を自動でスイングとして取り、どちらが先に出たかで上昇スイングか下降スイングかを見分けます。

安値A高値反発0%23.6%38.2%50%61.8%78.6%100%
例: 安値100から高値150まで上がったスイングにリトレースメントの水準を引いた様子。61.8%の水準は 150 − 50 × 0.618 = 119.1 で、押しはその付近(足の安値118.9)で反発しました。
  • 23.6%:150 − 50 × 0.236 = 138.2
  • 38.2%:130.9
  • 50%:125
  • 61.8%:119.1
  • 78.6%:110.7

比率はどこから来たのか

フィボナッチ数列は、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55…のように前の2つの数を足して次の数を作る数列です。数が大きくなるほど、ある数をすぐ次の数で割った値は0.618に、2つ先の数で割った値は0.382に、3つ先の数で割った値は0.236に近づきます。たとえば 34 ÷ 55 ≈ 0.618、21 ÷ 55 ≈ 0.382、13 ÷ 55 ≈ 0.236 です。78.6%は0.618の平方根(約0.786)で、エクステンションの161.8%は黄金比1.618、127.2%は1.618の平方根です。このサイトのツールはエクステンションを、スイングの始点から幅の127.2・161.8・261.8%だけ進んだ価格として計算しますが、エクステンションを測る基準点はツールによって違うことがあります。

50%はフィボナッチ比率ではない

水準の一覧にいつも入っている50%は、フィボナッチ数列から出た比率ではありません。数列から出る比率は、数が大きくなるほど0.618・0.382・0.236のような値に収束し、0.5はその中にありません。50%は、動きの半分ほどを戻すことを重視してきた慣習から一緒に使われるようになった値だと、よく説明されます。78.6%のように数列の比率にもう一度計算を加えた値も混ざっていて、水準の一覧そのものがツールや人によって少しずつ違います。名前にフィボナッチと付いているからといって、すべての線が同じ根拠を持っているわけではありません。

最大の弱点:どのスイングを選ぶか

すべての水準はスイングの2点から出るので、点を1つ変えるだけで水準がすべて動きます。最初の図のスイングの始点を、最も低い安値A(100)ではなく途中の安値B(116)に取ると、同じ反発が61.8%の水準での反発ではなく、スイングをほぼすべて戻した動きになります。ヒゲの先を使うか実体を使うか、日足で選ぶか4時間足で選ぶかによっても値は変わります。反発が終わってから都合のよいスイングを選べば、どんな反発でも水準に合わせて説明できてしまうという点が、最も気をつけるべきところです。

安値B高値同じ反発0%23.6%38.2%50%61.8%78.6%100%
例: 上と同じ足で、スイングの始点を途中の安値B(116)に変えると水準がすべて動きます。同じ反発が今度は78.6%と100%の間、スイングをほぼすべて戻した位置になります。

ほかの根拠と重なる価格

フィボナッチの水準が注目される場所は、たいていほかの根拠と重なる価格です。以前の高値・安値、何度も止まった支持・抵抗の価格帯、移動平均線、出来高が厚く積み上がった価格帯が水準の近くにあると、より多くの人がその価格を意識しやすくなります。最初の図でも、61.8%の水準(119.1)は上昇の途中でしばらく一服した価格帯(約116〜121.7)の中にあります。ただし、こうした場所で価格が止まったとき、その理由が比率のせいなのか、重なっていたほかの根拠のせいなのかは見分けられません。サポート・レジスタンス自動検出ツールでスイングが集まった価格帯を一緒に見るのも、こうした重なりを確かめる方法です。

予測力について冷静に

フィボナッチの水準に特別な予測力があるという証拠は弱いものです。まず、水準が細かく並んでいます。23.6%から78.6%までの5本の線がスイング幅の12〜17%ごとに置かれるので、戻りがどこで止まっても近くに水準が1つはあるものです。5つの水準それぞれの上下に幅の3%ずつだけを「近く」とみなしても、0%から100%までの範囲のうち30%がどれかの水準の近くになります。多くの人が同じ線を見ていれば、その価格に注文が集まって実際に止まることは起こりえますが、それは比率の性質というより、人々の習慣が生んだ結果に近いものです。水準で反発した割合は、この記事では測っていません。

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